【かがわ文化芸術祭2025・かがわアート塾】第40回 絵画サン展
2025年10月15日から26日まで、香川県さぬき市にある細川林谷記念館において、地域の画家らによる作品展が開催されました。この「第40回 絵画サン展」では、さぬき市・東かがわ市に在住・活動する絵画作家19名による油彩画、水彩画、日本画、墨彩画など、大作・小品あわせておよそ50点の個性豊かな作品が並びました。
「サン展」の名前の由来は、主催団体「東讃絵画美術協会」の「讃(さん)」、太陽の「SUN」を掛け合わせたもの。太陽のように輝く展覧会を目指して、年に一度開催されています。
東讃絵画美術協会は、旧大川郡の作家たちがそれぞれの作品を一緒に画廊に出品しようと集まったのが始まり。平成9年に大川絵画同好会として発足し、町村合併を機に東讃絵画美術協会と名称を変更。その後、元給食センターだった施設を絵画展示施設とするよう市に働きかけ、リニューアルオープンした「21世紀館さんがわ」にて、毎年絵画サン展を開催してきました。そして40回目を迎えた今回は、細川林谷記念館に会場を移しての初開催となりました。


協会の事務局長を務める六車和紀さん(70、写真右)は、初回からのメンバー。会の運営と創作の両面で尽力されており、「グループがあるからこそ、描かないかんなと思って描き続けてこられた」と語ります。

六車さんが絵を描き始めたのは20歳のころ。もともと陸上競技に熱中していた六車さんにとって、絵画は未知の世界でした。きっかけは、職場で出会った一人の先輩画家。興味を持ち、仲間とグループを組んで描き始めたのがはじまりでした。
油絵を中心に描く六車さんの作品には、日常の中にある“記憶の風景”が詰まっています。今回展示されたのは、姫路旅行の際に見かけた色鮮やかな大漁旗が目を引く「明石魚の棚商店街」や、「滝宮橋」などの橋シリーズ。現場で撮影や簡単なスケッチを行い、自宅で再構成しながら少しずつ作品を仕上げていくスタイルです。

「ちょこちょこと描き進めて達成感があるところが魅力。義務感があるからなんとか完成させられる」と笑います。
小田漁港にある古い倉庫を描いたのは和田忠彦さん(88)。


古い建物ばかりを好んでよく描くと言い、特徴的なのは、描いた部分をグラインダーでわざと削り、重ねた下の色を出す独特の工夫。
県展にも挑戦するなど、これからも創作活動を続けていくと意気込みます。
この日は和田さんの奥様も来場。60歳を過ぎてから楽しんで描いている姿を「本当に絵が好きなんだなぁ」と思いながらいつもそっと見守っているそうです。
退職後に独学で絵を始めたという79歳の永峰優さんは、ジュニアバレーボールの現役指導者としての顔も持ち合わせています。

「表現は楽しい」と話し、今回は人物画や果物などの静物を出品。今後も他のメンバーと共に、元気なうちはずっとやりたいと話す姿は年齢を感じさせない輝きを感じました。

「絵の良し悪しは話題にしない。それぞれが自分の“好き”を描いているから」。
ただし課題もあります。会員の多くが高齢で、最年長メンバーは95歳とも言われ、後継者不足が深刻です。
展示だけでなく、作家との交流、空間の雰囲気も含めて“地域の文化イベント”として機能している「絵画サン展」。
生涯にわたり創作を続けると意気込む東讃地域の画家たち。
彼らが描くのは、ただの風景や静物ではなく、「地域の記憶」と「生き方」そのものなのかもしれません。
新メンバーの募集も行っているので、ご興味のある方はぜひ東讃絵画美術協会の六車さんまでご連絡ください。
これからも絵画サン展は、地域の今と未来を映す、かけがえのない風景を見せてくれるはずです。
東讃絵画美術協会は、旧大川郡の作家たちがそれぞれの作品を一緒に画廊に出品しようと集まったのが始まり。平成9年に大川絵画同好会として発足し、町村合併を機に東讃絵画美術協会と名称を変更。その後、元給食センターだった施設を絵画展示施設とするよう市に働きかけ、リニューアルオープンした「21世紀館さんがわ」にて、毎年絵画サン展を開催してきました。そして40回目を迎えた今回は、細川林谷記念館に会場を移しての初開催となりました。
協会の事務局長を務める六車和紀さん(70、写真右)は、初回からのメンバー。会の運営と創作の両面で尽力されており、「グループがあるからこそ、描かないかんなと思って描き続けてこられた」と語ります。
六車さんが絵を描き始めたのは20歳のころ。もともと陸上競技に熱中していた六車さんにとって、絵画は未知の世界でした。きっかけは、職場で出会った一人の先輩画家。興味を持ち、仲間とグループを組んで描き始めたのがはじまりでした。
油絵を中心に描く六車さんの作品には、日常の中にある“記憶の風景”が詰まっています。今回展示されたのは、姫路旅行の際に見かけた色鮮やかな大漁旗が目を引く「明石魚の棚商店街」や、「滝宮橋」などの橋シリーズ。現場で撮影や簡単なスケッチを行い、自宅で再構成しながら少しずつ作品を仕上げていくスタイルです。
「ちょこちょこと描き進めて達成感があるところが魅力。義務感があるからなんとか完成させられる」と笑います。
小田漁港にある古い倉庫を描いたのは和田忠彦さん(88)。
古い建物ばかりを好んでよく描くと言い、特徴的なのは、描いた部分をグラインダーでわざと削り、重ねた下の色を出す独特の工夫。
県展にも挑戦するなど、これからも創作活動を続けていくと意気込みます。
この日は和田さんの奥様も来場。60歳を過ぎてから楽しんで描いている姿を「本当に絵が好きなんだなぁ」と思いながらいつもそっと見守っているそうです。
退職後に独学で絵を始めたという79歳の永峰優さんは、ジュニアバレーボールの現役指導者としての顔も持ち合わせています。
「表現は楽しい」と話し、今回は人物画や果物などの静物を出品。今後も他のメンバーと共に、元気なうちはずっとやりたいと話す姿は年齢を感じさせない輝きを感じました。
「絵の良し悪しは話題にしない。それぞれが自分の“好き”を描いているから」。
サン展の作家たちは互いを尊重し合う関係性が魅力です。
ただし課題もあります。会員の多くが高齢で、最年長メンバーは95歳とも言われ、後継者不足が深刻です。
今回は地元小中学生に案内チラシを配布するなど、若い世代の集客にも取り組みました。
この地域ではこうした展覧会の機会が少ないこともあり、子どもたちに大きな本物の作品を目の当たりにしてもらうことで、美術の魅力を伝えていく取り組みが始まりつつあります。
会場には、毎年欠かさず来るというファンも少なくありません。ある来場者は、「作品の前で自然に会話が生まれる。ここに来ると気持ちが前向きになる。」と語ります。
また「この絵はきっと、ものすごい時間をかけて丁寧に描かれたんだろうな」そんな想像を膨らませながら、じっと作品の前に立ち尽くす来場者の姿もあり印象的でした。
筆の重なりや色の奥行きに、作家の時間と情熱が宿っていることを感じ取ったのでしょう。
筆の重なりや色の奥行きに、作家の時間と情熱が宿っていることを感じ取ったのでしょう。
展示だけでなく、作家との交流、空間の雰囲気も含めて“地域の文化イベント”として機能している「絵画サン展」。
メンバーはそれぞれが年に一度の絵画サン展に向けて制作に励んでいます。画家たちのエネルギー、地域とのつながり、次世代への期待。そのすべてがこの展覧会には詰まっています。

生涯にわたり創作を続けると意気込む東讃地域の画家たち。
彼らが描くのは、ただの風景や静物ではなく、「地域の記憶」と「生き方」そのものなのかもしれません。
新メンバーの募集も行っているので、ご興味のある方はぜひ東讃絵画美術協会の六車さんまでご連絡ください。
e-mail:mgrm1955@yahoo.co.jp
これからも絵画サン展は、地域の今と未来を映す、かけがえのない風景を見せてくれるはずです。

第40回 絵画サン展















